株式会社 別川製作所 – DXの取組 –

1. トップ・コミットメント

 当社は「第10次中期経営計画(2018~2020年度)」にて、25年後の創立90周年における「我が社のありたい姿」、「ビジネスモデル」、「戦略的なゴール」を定義しました。

25年後の我が社のありたい姿

我が社はエネルギーを扱う全ての場所に人と社会をつなぐプロフェッショナルとしてサステイナブルで明るい未来を提供している

25年後のビジネスモデル

戦略的なゴール(25年後)

成功の柱

1. 技術    ・・・ 未来のためのイノベーション
2. 事業形態  ・・・ プロフェッショナルなソリューション
3. 企業風土  ・・・ ハイレベルなダイバーシティ
4. 協働    ・・・ 共に成⾧するパートナー

 

 従来からの中期経営計画策定方法であるフォアキャスト(現在を起点として未来を予測)ではなく、上記25年後での当社の姿からバックキャスト(目標とする未来を描き、その未来を起点として逆算する)することで10次中期経営計画を策定しました。

 「10次中期経営計画」では経営方針を「トータル・システム・ソリューションのETSUKAWA」とし、「自分の「やる気」に火をつけろ」をスローガンに掲げ、環境・性能・品質・納期・生産能力等、企業の本質価値を磨くことに加え、新規事業が業務改革・人材育成において、新しい取組を展開・外部に発信し、さらに雇用・調達・販売全方位のグローバル対応を推進することにより、「ETSUKAWAリブランディング」を推進、4事業(配制・システム・フィールドエンジニアリング・鉄道)の成長と、お客様目線の確立により「ワンストップ・トータル・ソリューションの実現」を目指しました。

 2021年度から始まった「第11次中期経営計画(2021~2023年度)」では「満足から感動へ」をスローガンとし、以下のトップ戦略を掲げています。

 1. 既存業務の業務量を徹底的に削減する。
 2. 削減した業務量を個人と組織のホスピタリティ向上に投入する。
 3. 「フルオーダー」を究め、お客様に感動を与える製品・サービスを提案・提供する。

 2024年度から始まる「第12次中期経営計画(2024~2026年度)」では、トップ戦略の一つに「DXを加速させ、徹底的な業務効率化を実現する」として、「DX」を明確に掲げ、更なるDX推進に取り組みます。

 より付加価値の高い製品とサービスをお客様に提供するとともに、KNXやIoT、AIなど新しい事業分野への取組により、ETSUKAWAの進化を更に加速させます。

 

2. DX戦略

 第11次中期経営計画(2021~2023年度)のトップ戦略を実現するためには、社内外に対してそれぞれDXへの取組が不可欠であり、当社は以下のDX戦略に取組んでいます。

 ① DXによる生産性・品質向上

2017年からスタートした「スマートファクトリープロジェクト」にて工場のAI・IoT化を進めており、生産性及び品質向上を実現しています。2021年度からは工場だけではなく、本社全体の様々な業務効率化をAI・IoT・RPA等活用し、労働生産性の向上を実現します。

 ② DXによる新たな付加価値の提供

自社工場のAI・IoT化で得た知見や、社会的課題に対する産学連携による研究開発を通じて、お客様の課題を解決します。

3. 社内体制・環境整備

 2017年からスタートした「スマートファクトリープロジェクト」にて社内のDXを推進するとともに、社会的課題に対する将来のビジネスチャンスに対して2019年度から発足した「企画開発室」にてAI・IoT等の開発を行い、新しい顧客価値を創造しています。また2022年度には製造・調達部門にDX化担当者を配置。製造は工場及び設計も含めた生産性向上を、調達は社内だけではなく、サプライチェーン全体を含めた調達能力・効率の向上を図りました。
 2023年には設計部門にもDX推進担当を配置、さらに経営企画室内に「DX推進チーム」を新設して全社的に横断したDX推進活動を牽引・支援しています。
 また、DX推進チームでは単に「D」(デジタル)に強いだけではなく、「X」(トランスフォーメーション)に強い人材の育成も目指しています。

 「スマートファクトリープロジェクト」や「企画開発室」では毎年役員会にて進捗及び次年度課題について報告し、次年度の設備申請として盛り込み、DX環境の整備を行っています。「スマートファクトリープロジェクト」では2017年度から工場内のWifi環境を整備、どこからでもセキュリティを確保した上で社内ネットワークにアクセスできる環境を整えました。また2020年度に全自動配線加工機を導入、当社独自に開発したAI画像検査判定により加工不良の配線が組立工程に流れることを抑止し、配線作業の効率化を図りました。2022年度は営業・設計部門におけるペーパーレス及び効率化のためワークフローシステムの新規導⼊と既存システムとの連携や、⼯場内製品位置管理システム構築のためのQRコードを使った作業効率向上など各種DX化を図りました。
 2023年度は来たる物流の2024年問題に取り組むべく、運送業者と連携した出荷情報システムの構築や、紙で伝達していた物品購入依頼や板金現場への曲げ指示等をシステム化しペーパーレスを加速しました。
 2024年度は設計部門の業務におけるペーパーレス・情報共有化を大幅に進めるべく、液晶タブレット他・支援ツールの導入を予定。営業部門の見積業務の改善や生産能力のさらなる向上に取り組みます。
 また「企画開発室」ではAI・IoT等の開発を行うにあたり金沢工業大学との共同研究を開始、2021年度には産学協同教育として「KITコーオプ教育プログラム」にも取り組み、大学との連携を強化・最新の情報処理技術を活用出来る人材の確保に努めています。  2022年度には開発テーマ「スマートグラスを活用した新しい働き方」として、複数の場所の映像や情報を同時に認識しながら実際の現場での作業を支援するスマートグラスアプリを産学共同で開発。
 2023年度には、製造現場や施工現場で使用される設備機器の運用を円滑に行うために、運用状況をリアルタイムに把握・日々の作業結果を記録し、タブレットやスマートフォンで確認が可能な「SearCheck」を開発しました。さらに、プラットフォームを活用してお客様のオフィスや工場の「現場」に合わせたさまざまな「みえる」を提供します。

 DX推進を担う人材の育成のため、他社とのDXに対する取り組みを紹介しあう交流会を実施し、意見交換を行っています。また、通信教育のコース拡充も行い、全社員がDX関連の知識を習得できる機会・環境構築にも力をいれています。

4. 成果目標

 「第10次中期経営計画(2018~2020年度)」で定めた10年後(2027年度)及び25年後(2042年度)の成果目標は以下の通りです。

1.  10年後(2027年度)

売上高 ・・・ 製品65億円・サービス55億円、合計120億円
営業利益 ・・・ 8億円(営業利益率7%)

2.  25年後(2042年度)

売上高 ・・・ 製品60億円・サービス240億円、合計300億円
営業利益 ・・・ 30億円(営業利益率10%)

 

上記においてDX戦略達成における指標としては以下4点を掲げています。

 (1) 顧客へのDXによる新しい価値創造による売上高及び新規顧客数の増加
 (2) DXによる従業員一人当たりの労働生産性向上
 (3) DX活用による従業員満足度の向上
 (4) 専門技術取得者数の増加